理系の大学生の宿命といっても良いのが “実験” だと思います。この記事を読んでいるあなたも日夜さまざまな実験に頭を悩ませているのではないでしょうか?
さて、僕が大学に入学して、高校までの実験との違いで1番驚いたのが実験ノートです。「なんでこんなもの書かなきゃいけないの?」、「わざわざボールペン?」など当時は疑問に思ったものでした。
そこで、この記事では僕と同じ悩みを持っているであろう大学生に向けて
- 実験ノートを書く目的
- 実験ノートの使い方
- ノートを書く上で注意すべきこと
などを紹介していきたいと思います。
目次 (クリックでジャンプ)
はじめに
まず断っておきたいのが、実験ノートには「絶対に正しい書き方」というのは存在しません。研究分野や各研究室などで流儀のようなものがあったり、人によって多少の癖があります。
それを理解してもらった上で、この記事では実験のノートテイキングについて色々なアドバイスなりティップスなりを紹介して行くつもりです。
また、この記事は “学部生” 向きだということです。なので、大学院生や研究生はこちらの書籍などで勉強して見てください!
研究室に配属された人は、ぜひ研究室のルールに従っておいてください。先輩に聞くと教えてくださると思いますし、過去の実験ノートを参考にしてみればまず間違い無いと思います!
なんのためにノートを書くの?
それでは、まずなぜ実験ノートを書くかということについての話題から初めていきたいと思います。
レポート作成のため
学生実験においてノートを取る目的の一つは、やはり実験レポートを書く際に記録が必要だからです。
パソコンに書いておいてもいいのですが、実験作業をしながらキーボードを打ち込むというのは誰にでもできることではありません。図や表を書くのにも紙の方が自由度が高いです。
実験の結果を残すため
先ほどと似たようなことですが、実験ノートには研究結果の保存という役割もあります。
当然、実験結果を全て暗記することはできませんし、アイデアを思いついた時や考察がパッと頭に浮かんだ時に書き込んでおけば後から見返すことができます。
「ならパソコンに書いておけばいいじゃないか!」という声がまたまた聞こえてきそうですが、記録は紙にしておきましょう。
(紙での記録は紀元前から続く、人類が最も嗜んできた記録方法だというのが教授の考えらしいです…)
実験の正当性を示すため
実験ノートに研究結果を残しておけば、自分の研究の結果の正当性を主張することができます。
正当性というのは、例えば不正行為や研究結果の粉飾を疑われたときに、身の潔白を示すことができるということです。これも、ただパソコンに書き込んだだけではいつ書いたかがわかりにくく(というか改ざんしやすく)なってしまうので紙の方が説得力があると言われています。
また、特許などの際にもこの「実験ノートにいつ書き込みがあったか」で研究の先行性を主張することができるそうです。実際に、外国などでは研究者同士がディスカッションをした際には、その会話があったことを示すためにその場にいる人が署名を求められるそうです。
大学院での実験ノートを書く練習をするため
今までにあげたことは、何も学部生のうちから “やらなければならないこと” では無いと思います。実験といってもほとんどが追実験なので(学術的に)新しい発見があるということはほとんどありません。
ですが、だからと言って実験ノートの書き方を知らないままに大学院生になるとそこで非常に困ることになります。だから、今のうちから練習しておくことが大切なのです。
実験ノートとは何を使う?
この記事を書こうと思って少し調べて見たのですが、実験ノートで何を使えばいいかを気にかけている人が多く見られたので、何を使っていいか、オススメの研究ノートを紹介して行きたいと思います。
ちなみに、僕が学校で使っているのは、大学が用意してくれたものです。こんなやつ。
では、実験ノートを選ぶ上での注意点を見ていきましょう。
サイズはA4、綴じ込み式が有能
サイズはA4とB5があるみたいです。どちらでもいいと思いますが、周りに合わせておいたほうが無難です。もしかしたら学校や研究室から指定があるかもしれないのでそれをしっかり聞いておきましょう。
なぜノートがいいかというと、ルーズリーフは順番がごちゃごちゃになる可能性があるからです。さらには、改ざんを疑われることもあるそうです。いらぬリスクを背負うよりは無難にノートの方がいいと思います。
方眼紙がよく使われている
実験ノートには図や表が多く使われることになるので、それを考えて方眼紙がよく使われています。
というか、実験ノートと銘打って、罫線だけのノートを探す方が難しいと思うのでそこは心配ないかもしれません。
良くわからなければ…これがオススメ
なんだかんだよく分からない人には、ぜひオススメの決め方があります。
それは…「生協で売っている実験ノート」と同じものを買うことです。生協で買ってもアマゾンで買ってもいいですが、こうすれば大きく外れることはないと思いますよ!
ちなみに…
研究室によってはこのラボノートを使っているところが結構あると思います。名前だけめっちゃかっこいいんだよな、ラボノート。雰囲気を楽しみたい人は学部の頃から使ってみてもいいかも…
ノート、何を使ったらいいかわからない人とかにはオススメです!
ちなみに…『ラボノートの書き方』なんて本があるんだからすごいですよね…
実験ノートの使い方
では、これからは実験ノートの使い方について説明していきたいと思います!
基本的な使い方は学校で教わるはず
最初の方に、「実験ノートに完全に正しい使い方はない」という話をしました。だから、ある程度は自由に使って構いません。
しかし、基本的な使い方はあります。それは大学の最初の授業とかで教わるはずだと思います。
全く知らないという人は図書館などを利用して実験ノートの書き方の本を探して見ましょう!
以下は、注意したい約束事などを書いていきます。
ボールペンはマスト
まずは、実験ノートはボールペンで書きましょう。これには、2つの理由があります。
1つめは、やはり改ざんを疑われないようにするためです。実験結果が会わずに、さっと消しゴムで消してしま痛い衝動にかられることが、そういうことができないようにするためにもノートは消せないボールペンで書きましょう。
もう一つの理由は、測定を間違ったりした実験結果も大切な考察要素なので、そういうものも消してしまわないようにするためです。だから、間違って書いたものは、二重線などで訂正して、何を何と間違えたかがわかるようにしましょう。
後から見返して価値のあるものに
実験ノートはレポートを書く時などに見返すものです。だから、最低でも自分、班員が読み返してわかるくらいには丁寧に書きましょう。
また、研究室に入ればあなたの研究を引き継ぐ人があなたのノートを読み返すこともあるかもしれません。しっかり書いておくに越したことはないということですね!
書いておいたほうが良いこと
一般的には、以下のことがきちんと記入されていると良い実験ノートだという風に言われています。
- 実験時の気温や湿度、実験時刻
- 実験の時の写真やデータ
- 実験手順などをフローチャート
- 単位など
- 仮説などのその場の思いつき
- 教授やTAからのアドバイスなど
- 参照した書籍やHPのURLなど
まとめると、研究に関するありとあらゆることを記述しておくといいと思います!逆に、これは絶対に書いてはダメ!というのは実験に関する嘘の記述くらいです。
これはやったらあかんやろ
では、これはやってはいけない、書いてはいけないよいうような実験ノートに関する禁則のようなものを書いていきたいと思います。
不正行為
まぁ、「不正行為」はいけませんよね。では、何が不正行為に当たるかということですが、主にはデータの改ざんです。
この改ざんというのも難しくて、例えば実験結果を「故意に」直すのはいけません。が、恣意的に解釈するというのは完全に罰とは言い切れないところもあります。
まずはあったものをなかった、なかったものをあったと言わなければ大丈夫でしょう。
写真などの画像データについては簡単で、認められるのは「コントラストとトリミングのみ」です。しかも、コントラストを変更するのは画像全体であり、かつ実験結果の解釈がかわるくらい変えてはならないという条件付きですが…
学生実験ではそこまで厳格に守らなくても良いかもしれませんが、今の内から習慣をつけておきたいところです。
ネットに書き込まない
実験ノートは貴重な研究資料です。だから、軽い気持ちでネットにアップロードするのはやめておいたほうがいいでしょう。
今はそれでいいかもしれませんが、例えば研究室のデータを漏洩させてしまったという人を、どこぞの研究機関が喜んで迎え入れてくれるとは到底思えません。
見せていいのは原則所属グループの人のみです。注意しましょう。
最後に
以上、を書いてきました。知りたい情報は見つかったでしょうか?
僕が教授から言われて衝撃的だった一言があります。それは、
研究ノートをかけるということは、立派な実力だ
だそうです。実際、リクルートの場面で実験ノートをしっかり書ける人が欲しいなどという会話がなされることもあるそうです。
たかが学生実験と思わずにちゃんと書いていきたいですね!