大学生になって、やっておきたいことの1つが、「読書」です。
大学生なら時間があるし、将来のことを考えたら、やっぱり読書やっておいた方がいいよね!と僕も思うのですが…
まぁ、巷のいろんなブロガーさんの「大学生はこれを読め!」みたいな記事を見ていたら、やれ『金持ち父さん』(1) だの、ホリエモンの『ゼロ』だのそういった言わば “ビジネス本” が並んでいてちょっぴりうんざりしてしまいました!
いや、それは大学で読まんでもええやん!
ってね。
だから、この記事では (しっかりとした) 大学生が読んでおきたい ガチの本をオススメしていきたいと思います!
ぜひ参考にしてみてください!
(1) いや、ええねんで、『金持ち父さん』。でも、せっかく大学に入ったなら、別の本も読もうやって話。
目次 (クリックでジャンプ)
1. 構造と力 (浅田彰)
40代以上の人なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
浅田彰の『構造と力』は1980年代のニューアカデミズムと言われた時代にブームになった本です。
内容を一言でまとめるのはとても難しいのですが、それでもあえて一言で言うなら「近代哲学からのフランス現代思想の流れを整理した」本というところでしょうか?
浅田先生も、本のあとがきでチャート式 (のよう) だと述べています。
まぁ、この本はおそらく並みの大学生には読めません。(キッパリ)
僕も3回生の中頃にこの本を手に取ったのですが、その時は全く内容がわかりませんでした!
(1年間必死に勉強をして、それでみんなと読書会をしたりしているうちに内容がだんだんと掴めるようになってきたレベルです。)
でも、それでもこの本は読む価値があると思います。
それはなぜかというと、「自分にはまだまだわからないことがある!」ということをはっきりと自覚できるからです。
まぁ、過去の僕もちょっとそうでしたが、大学生になったら
ってちょっとおかしなテンションになってしまうんですよね。なんというか、一回緩むというか。
でも、この本を読むとそんな心がピシッとするというか、
って気分になります。
これを読んだら、「大学で何してたの?」って質問にも、「きちんと勉強していました!」って答えられる自身がつきますよ。
2. 勉強の哲学 (千葉雅也)
さて、『構造と力』を読んで、「あぁ、自分まだまだやな…」ということに気がついてしまった人は、こちらの本をオススメします。
この本は、いわゆる「勉強とは何か?」ということを哲学的な観点から考察しています。
この本で言っている「勉強」というのは、いわゆる高校受験までの勉強とは少し (もしくは全然) 違っています。
勉強とは自己破壊である。
という著者の論には、とても感じるものがありました。
この本は、今までの勉強を振り返る時にも面白い視点を提供してくれますし、これからどういう風に勉強をしていけば良いかということを知るためにもいいと思います。
勉強とはどういうものなのか、ということをしっかりと認識できるという意味で、必読の一冊です。
3. 正義と微笑 (太宰治)
さて、ここまでの2冊が、いわゆる哲学系の本だったので、次は文学。
日本文学でいうと、本当に誰を挙げるか迷ったのですが、この『正義と微笑』でいきたいと思います。
ちなみに、友達曰く
だそうで。
それはさておき、なぜこの本を選んだかというと、単純に面白いというのが一つ。特に太宰や漱石の文章を読んだことない人でも単純に楽しめると思ったからです。
そして、第二の理由は、ここにも勉強というものに対して葛藤を繰り返した青年の思いが綴られているからです。
太宰特有の、世の中を斜めから見たというか、そんな示唆に富んだ表現がたくさん出てきます。
晴れ。我、大学に幻滅せり。 (中略) 僕の観察には万々誤りはないつもりである。天才的な人間は、ひとりも見当たらない。実にがっかりした。これでは、僕がクラス一番の人物になるということになるようだ。張り合いのないことおびただしい。ともに語り、ともに励まし合うことができる秀抜のライバルが、うようよいるかと思ったら、これはまるで、また中学校の一年へ改めて入り直したようなものだ。
ちなみに、これと迷ったのは、三島の『金閣寺』と漱石の『三四郎』でした。
特に、『三四郎』は『正義と微笑』と同じく主人公が大学生で、「わかるわかる!」とニヤッとしてしまうところもあり、読んでいてとても面白いです!
まぁ、これの他にも日本文学において「必読」と呼ばれるものはたくさんあるので、そのどれかを読んでみるといいとおもます。
とにかく、日本の古典は何冊か (もしくは著者1人を通読) してみると面白いので、ぜひ読んでみてください!
4. カラマーゾフの兄弟 (ドストエフスキー)
さて、それではいよいよ世界の文学。
まぁ、こちらもなんでもよかったのですが、あえて一冊挙げるとすれば、やはり『カラマーゾフの兄弟』ですかね。
理由は単純で、この本読むのにはとてつもなく時間と体力を使うからです。
僕は、1ヶ月近くかかりました。
そして、この本のもう一つの特徴は、ズバリ「最初はそんなに面白くない」ことですかね。
うん、だから、この本を読んでいる間に、他に読み始めた本が4,5冊読み終わるような有様でした。
でも、それでもオススメしたいのは、やはり「読み応え」が違うから。なんか噛めば噛むほど味が出てくるビーフジャーキーみたいなものです。
まぁ、先生曰く「ドストは過大評価されすぎている」とのことでしたが…
とにかく、読んでみると「謎の自信がつく」のと、いい経験になることは保証しますよ!
5. プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (マックス・ウェーバー)
ご存知、マックスウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は、プロテスタントの禁欲的な価値体系が、実は資本主義の精神と適合しているという見方を前面に打ち出したという、とってもとっても刺激的な内容の1冊です。
これはある予備校の先生のおすすめとして挙げられていた書物で、その先生曰く
だそうです。
まぁ、その先生の真意がなんだったかはよくわかりませんが、この本を (まとめなどではなく) 通読をすると、相当の読書力も一緒に得ることができるのは間違いないでしょう。
プロ倫が読めたら、いよいよ次は『資本論』にいくのもアリだし、前に立ち戻って『方法序説』にいくのもいいと思います。
1冊読んだだけで「読んだ!」という気にならないで、このあと様々な本に手を伸ばしていけるかどうか、がこの本を「読んだ」と言えるかどうかの分水嶺だというのは、間違いないですね!
6. 夜と霧 (ヴィクトール・E・フランクル)
今まで交流のあった人や、学校・予備校の先生の中で一番話題に上がったのがこの本です。
たぶん、予備校・学校の先生が選ぶ「大学生になったら呼んでほしい本ランキング」を作ったら、ベスト3には間違いなく入ってくるのではないでしょうか?
内容は、ナチスの強制収容所に収容されたユダヤ人精神分析家が、その体験を綴った本です。
〈わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。
では、この人間とはなにものか。
人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。
人間とは、ガス室を発明した存在だ。
しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ〉
読むには、相当な覚悟が必要になります。特に、僕なんかは暗い本だと読むペースが落ちてしまうので、大学生でなきゃ半年レベルの時間がかかると思います。
そして、多くの人が言うように、この本を読む前と読んだあとではものの見方、考え方が全く別なものになっているでしょう。
これ以外にも、遠藤周作の『海と毒薬』が同じ系統になると思います。こちらは日本の病院での悲惨な出来事が、それを取り巻く様々な人の葛藤とともに書かれています。
たまに、工学倫理にも登場する作品なので、理工学部の人にもぜひ呼んでほしいと思います!
7. 精神分析入門 (ジークムント・フロイト)
「〇〇入門」と書いてあるからといって、それが必ずしも入門書ではない、という良い例の一つかもしれないのが本書。(専門の人からしたら、これが入門書らしいです…)
20世紀の3賢人といえば、マルクス、フロイト、ニーチェと言われるほど、歴史的にも重要な人物です。(他にダーウィンを挙げる人もいます)
そのフロイトの主著が、この『精神分析入門』です。
600ページ以上にわたり、フロイトが発見したことや思想が包括的に書かれています。
講義調というか、語りかけるような感じで話が進んでいくので、初心者の人にも (多少) とっつきやすくなっているのが救いです。(だからって、入門書のレベルじゃないけど…)
これは理系人間としての意見ですが、精神分析っていうのはどうしても科学との折り合いが悪い。科学なら『無意識』って言葉を何としてもデータや数値で扱おうとして、その一般化を図るのですが…
他方で精神分析は、それを違うやり方で説明していくのですが、それが科学で反証できない形になっているので、なんか科学サイドからしたら “眉唾” みたいに思えちゃうんですよね。
ただ、この本を読めば、フロイトはもともと科学者であり、そういうところもきちんと考察を踏まえているんだな、ということが嫌というほどわかります。
今は乗り終えられている部分も多いですが、それでも読む価値がある、ということがこの本の本当のすごさなのかもしれません。
8. フェルマーの最終定理 (サイモン・シン)
内容は、タイトルの通り「フェルマーの最終定理」についてのものです。
これを証明するために活躍した数学者や数学の歴史を追っていき、どのようにしてこの問題に向き合うのかを学んでいます。
数学の問題を扱っているにも関わらず、数式がほとんど出てきません。(あったとして、すぐに理解できるレベルです。)
にも関わらず、一冊を通して出るマーの最終定理にかける数学者たちの熱い思いがビシバシ伝わってきます。
だから、理系の人でなくても読めることは間違いないのですが、特に中学校・高校時代に「数学ってなんの意味があるの?」とか思っていた人にこそおすすめしたいです!
また、同じ数学シリーズだと『博士の愛した数式』がやはり面白く、他にもゴリゴリの理系本としては、朝永振一郎の『量子力学』や湯川秀樹の『目には見えないもの』なんかにも一度手を伸ばしてみるといいのではないでしょうか?
9. 聖書(Bible)
9冊目は、逆になぜここまで出てこなかったのかと言いたくなる『聖書』です。
というつまらないギャグはおいておいて…
聖書をおすすめする理由としては、2つあります。
1つ目の理由は、教養として。まぁ単純に、聖書にはいろんな例え話とか諺みたいなのがたくさんあるので、それを知っていると本が読めるようになったり、会話がスムーズになるのでおすすめです。
- 正しい者は七たび倒れても、また起き上がる。
- 剣を取る者は、剣で滅びる
- 目には目、歯には歯
これ以外にも、例えば「カインとアベルのように…」みたいに聖書の話を知っている前提で例えてきたりするので、知っておいた方がいいというのが1つ。
2つ目の理由は、圧倒的な何かがそこにあるからです。
これはうまく説明できないのですが、聖書で語り継がれているものには歴史的な重みを感じます。『カラマーゾフの兄弟』にもそういうシーンがあるのですが、神々しいというか、神秘的というか…
こうした何か「大きなもの」に圧倒される経験というのは、読書ではあまり得られたことはないのですが、その中でも聖書はやはり外せないと思っておすすめ本にセレクトしようと思いました!
だいたいの言語で翻訳が出ているし、何せ「世界で一番売れた本」なのでどこの誰でも知っている可能性は高いんですよね。
やる気のある人は、第二外国語、第三外国語で読んでみることをおすすめします!
※僕は英語でちょっと読んだだけですが…
今挙げた理由は、そのまま『旧約聖書』や『コーラン』にも当てはまります。なんでも良いので、是非
10. 本と鍵の季節 (米澤穂信)
さて、最後は米澤穂信の『本と鍵の季節』です。
って思うかもしれませんが、ここに来てあえて米澤穂信です。
それはなぜかというと、1つの理由は僕が彼の大ファンだからです。
有名な古典部シリーズはもちろん、小市民シリーズ、ベルーフシリーズなど既刊の作品は全て読んでいるくらい好きです!
だから、単純にみんなにもお伝えしたいっていうね。
まぁ、あとは最後に来て「読書っていうのは、別に勉強のためとかじゃなくて、単純に楽しいっていうのもアリだよね」って感じを出していきたいなーと思って、個人的なセレクトをさせていただきました。
おそらく、9冊目までは同じ本が並ぶ人がいるかもしれませんが、それではツマラナイので、10冊目は僕の好みがにじむような、遊び心的な本にしようという意図です。
この本は、今のところこの1冊で完結しているのですが、気になった方はぜひ別の本も読んでみてください!
そして、ハマったらとりあえず既刊を全部読みましょう!
大丈夫、そんなに多くないですよ。20冊くらいですよ。
ぜひ…
是非!!!
最後に:そして読書は続いていく
さて、以上が大学生が、大学生の時に読んでおきたいガチの本でした!
今まで読んだことのある本は1冊でもあったでしょうか?
最後に言いたかったことをここで全て書いていきますが、これらの本を読んだから「はい、おしまい」というわけではありません。
読書は、続いていきます。
僕は大学の2年生の冬に、初めて地下の書庫に入ってびっくりしたことがあったのですが、書庫には本当にたくさんの本があったんですよね。
もうね、一生かかっても読めないくらい。
大学の図書館の書庫がハリーポッターの神秘部っぽいんだけど、わかる人います? pic.twitter.com/1pKPg6i2SN
— いぶき@京大生ブロガー (@ibuki_blogger) September 12, 2018
それを考えた時、なんだか無性に怖くなったんですよね。
だから、というわけではないのですが、思い返してみるとそのあたりから読書に熱を入れたんだと思います。
大学生って、大学の図書館にはそれなりの本があるという点で、わりかし本に簡単にアクセスできる環境にいると思います。
それも一つの選択だとは思いますが、読みたい人はぜひこうした本を読んでみてはいかがでしょうか?
眼前に広がるは、本の山。
知への扉は、開かれている。
さぁ、次の1冊は何を読もう?
以上、京大生ブロガーのいぶきでした!