英語を勉強している人やリスニング力を上達させたい人なら、誰でも「ディクテーション」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
確かに、ディクテーションは聞こえてきた英語を書き取る勉強法なのですが、意識することや効率的なやり方を知っておかないとかなりの時間がかかってしまいます。
そこで、この記事では英語のディクテーション初学者に、「ディクテーションとは何か」という基本的なところから、ディクテーションの効率的なやり方などを説明していきたいと思います。
- これからディクテーションを初めてみたい人
- 先生にお勧めされたけどどうやったらいいかわからない人
- リスニング力を短期間で上達させたい人
はぜひ参考にしてみてください!
目次 (クリックでジャンプ)
ディクテーションとは?
まず、ディクテーションとは何か?という基本的なところから説明していきたいと思います。
ディクテーションとは、書き取ること
ディクテーションとは、ズバリ「聞こえてきた英語を、書き取ること」です。具体的には以下のような流れになります。
このように、教材を聞いて、それをその通りに書き取ることをディクテーションと言います。
ざっくりとしたイメージとしては、リスニングとライティングを足したものだと思っておいてください。
シャドーイングとディクテーションの違いは「書く」かどうか
ディクテーションの他に「シャドーイング」という勉強法を聞いたことがある人も多いと思います。
ディクテーションとシャドーイングとの違いは、書き取るかどうかです。
ディクテーション… 聞こえたことを紙に書き取る
シャドーイング… 聞こえたことを口に出して唱える
このような違いがあります。
ディクテーションが必要なのは、「間違えられない」人
では、ディクテーションの目的は何でしょうか?それは、「正確なリスニング力」を身に着けることです。
ディクテーションは紙に書くため、曖昧(あいまい)な理解ではなく原文のままに聞き取る力が身につきます。
このように「間違えない」英語を身につけたい人にはぜひお勧めしたい勉強法です。例として、例えば受験などの正解が決まっているリスニングをする人や、契約など絶対に間違えられない英語を使うビジネスマンなどはぜひやるといいでしょう。
他方で、「シャドーイング」は英語のノリを身につけるのにうってつけの勉強法です。例えば日常会話をしたい人や、英語独特のリズムなどを身につけたい人はシャドーイングがお勧めです。
ディクテーションの効果
では、次にディクテーションの効果について詳しく説明していきたいと思います。これらのうちに身につけたいものが一つでもあれば、あなたの英語力向上ためにディクテーションを選択すべきです。
リスニング力が付く
まず、当たり前ですが、リスニング力がつきます。それも、先ほども言ったように「正確な」リスニング能力が身につきます。
これは、留学をしたり英会話スクールに行ってもなかなか身につけることができない能力です。そういうところは、いわば “ノリ” で聞いたり喋ってしまうことが多いのです。
普段使いの会話を楽しみたい人にはいいですが、アカデミックやビジネスで使う人は正確なリスニングが必要です。
そのためのリスニング力の強化としてディクテーションは非常に高い威力を発揮するのです。
スピードについていけるようになる
という人は多いと思います。
リスニングのスピードの限界を決めているのは、実は「単語の認識能力」です。
英語のリスニングの難しさとして、よく「前後のつながり」と「音の違い」の2が挙げられます。どちらもリーディングだと問題にならないのですがリスニングだとこの問題点が難易度を上げているのです。
ディクテーションをはじめとして、リスニング力を高める勉強はこれらのどちらかの練習をするものが多いのですが、ディクテーションはこのどちらも高めることができる優れものです。
自分の「ニガテ」がすぐにわかる
リスニングは、何も全部を正確に聞き取る必要はありません。必要なところは「補完」しながら読んでいけばいいのです。
例えば、以下のような場合を考えてみてください。
音声 「She denied me any help to me」
書き取り「She でなぃど me any help to me… ? 」でなぃどってなんだ?
このように、単語が足りていないとそこで止まってしまいます。文法がまずい人は、deny O2 to O1 の構文が取れないため誰が誰を援助したのかわからないでしょう。
このように、単語が全然わからない人は単語が足りていませんし、無生物主語ができていない人はそこで「え?」となってしまいます。
手っ取り早く苦手がわかるのでディクテーションは英語力全体を伸ばすのに役に立ちます。
ディクテーションのデメリットは、「時間がかかる」こと
最後に、ディクテーションのデメリットについて説明します。
ディクテーションのデメリットとしては、「とても時間がかかる」ことです。
もちろん、テストで満点を出すくらいの成果は3ヶ月から半年くらいで出ます。おそらく多くの人が効果を実感できると思います。
ですが、それはあくまで点数の話です。テストならぶっちゃけ7割くらい聞こえれば満点近くは取れますからね。
でも、そうじゃなくて1から10まで全て聞くことができる能力を身につけるのは、やはり1年単位の修練が必要だということです。
しかし、地道に積み重ねた勉強は簡単には衰えることはないので、ある程度までは頑張りましょう。
ディクテーションのやり方
では、いよいよディクテーションのやり方について説明していきたいと思います。具体例なども出していくのでぜひ真似をしてみてください。
ここに書くのはあくまで僕が実践したものなので、他のwebページや書籍のやり方なども参考にすることをおすすめしておきます。
① 英文を聞く
まずはいきなり「書こう!」とするのではなく、文章全体を聞くようにしましょう。
最初に聞くときは、以下のようなことに注意してみてください。
- いつ、どこで、誰が誰と
- どんな内容なのか
- 重要そうなポイント
ざっくりとイメージが浮かんだりすると聞き取りがしやすくなります。テストなどの時にはリスニングに入る前に問題文などを読んでヒントを探してもいいでしょう。
② 聞こえた文章を書き取る
次に、聞こえてきた文章を書き取っていきましょう。書き取りかたは、以下のようにします。
音声 「This TV program aims to entertain the viewer as well as to educate them.」
書き取り 「This TV program … ??? 」
音声 「This TV program aims to entertain the viewer as well as to educate them.」
書き取り 「This TV program … to entertain the ??? as well as to …」
音声 「This TV program aims to entertain the viewer as well as to educate them.」
書き取り 「This TV program aims to entertain the 〇〇 as well as to educate them.」
最初の方ではそこまで長い文章を聞き取って書くのは大変なので1文ずつストップしたり、短い文章を繰り返し聞いて全て書き取りましょう。
リスニング教材の難易度によって、「3回までで絶対に聞き取る」などの制約をつけるとより効果的です。
③ 答え合わせ & 間違ったところを確認
答え合わせを行います。
間違っていた文法箇所の確認や知らなかった単語の暗記、音のつながりなどをテキスト上で確認します。
短い文章なら3分くらいで確認できると思います。ここでは時間をかけずに、すぐに次のステップに進みましょう。
④ わかるまでなんども聞く
答え合わせをして間違いがわかったところで、最後に再度、音声を聞いてみるようにしましょう。わからなかった箇所や曖昧な箇所のスペルが頭に思い描けたら合格です。
時間があれば、もう一度ディクテーションをして確認してみてください。
このように、ぼやけていた英語の音声の「解像度」を上げていくことで、最終的に何を言っているかが理解できるようになってきます。
シャドーイングをしてみる
ディクテーションはぜひ復習もして欲しいのですが、聞いて書くのは結構時間を使ってしまいます。
そこでおすすめしたいのが、「シャドーイング」による復習です。より短時間で、効率的な勉強ができるのでぜひ試してみてください!
ディクテーションにおすすめの問題集・参考書
ここからは、ディクテーションにおすすめの教材を紹介していきます。初学者の人は特に教材選びが重要なので、自分に合ったものをぜひ確認してみてください。
ゼロからスタートディクテーション
ディクテーション初学者のほとんどがまず目にするのがこの「ゼロからスタート ディクテーション」です。この “ゼロからスタート” シリーズは英語学習をする人はよく見るかもしれません。
ディクテーションの肝は「音と文字を一致させる」ことと唄っていて、リスニング学習をする人にはぜひ一度読んでみてほしい1冊です。
2007年とかなり昔の本ですが、今でも色あせていないのが名参考書の証拠です!
究極の英語ディクテーション
「アルク」の究極の英語シリーズも人気が高いです。
特に、「出身国別なまり」や「早い英語」など実際に必要になる英語を学べるのでスピーキングも必要な人にもおすすめです。
「究極の」とありますがそこまで上級者向きの印象もありません。むしろ初学者にこそ手にとってみてほしい1冊です。
聞いて書きとる英語リスニング300問
『聞いて書き取る英語リスニング300問』の特徴は、その名の通り圧倒的な問題量です。量をこなしたい人はこの問題集を買うべし!
問題量に加えて、初級問題が150問、中級問題が100問、そして上級問題が50問と問題の難易度傾斜も良心的です。
日本人は英語のここが聞き取れない―3週間でできる弱点克服トレーニング
この参考書は、「いつもダラダラと期限を延ばしてしまったり、3日坊主になってしまう」人におすすめです。3週間という期限が決まっているので集中して取り組みやすい。
そして何より、この教材は「ヒアリングマラソン」という通信講座の人気コーナー、ディクテーション・コンテストの投稿を分析した結果に基づいて、日本人の弱点を分析し、重点的に伸ばすことができるようにしているのです。
この1冊に取り組むだけで、3週間で十分リスニング能力を高めることができます。おすすめです。
おすすめのアプリは、「ディクトレ!」
「ディクトレ」は短いディクテーションをやる人にはもってこいのアプリです。短い英会話がなんと100題以上も収録されています。
そして、何と言っても嬉しいのが「リピート再生機能」です。ディクテーションをやるとわかるのですが、何回もリピートボタン押すのがちょっと面倒なんですよね。その点、このアプリは優秀です。
会話が短いので、スマホで打ち込んで答え合わせをすることもできます。通勤・通学時間にも使えるのでぜひ試してみてください!
ディクテーションをするときの注意点
では、ここからはディクテーションをする際の注意点などについて書いていきたいと思います。
音読できない文章は聞き取れない
復習に「音読」をするようにと書いてありましたが、これには訳があって、
からなのです。
リスニングが上達しない要因はざっくり分けて発音、文法、語彙に絞られるのですが、そのうちかなりの数の人が「発音」を重要視していません。
ですが、いくら「紙の上で」見知った単語でも聞くとなるとまた話は別なので、発音して、聞いてを繰り返さないといつまでたってもリスニング力は上達しないのです。
また、発音ができるようになるとスピーキングも相手に伝わる英語を喋ることができます。
「発音なんて…」と食わず嫌いするのは非常に勿体無いので、ぜひトライしてみてください。
知らない単語は要チェック
まず、大前提として “知らない単語” は絶対に聞き取ることができないということを覚えておいてください。
「リスニングができない」という人の話を聞いていると、そもそも単語の絶対数が足りないという人によく出くわします。
単語・熟語は多く覚えるに越したことはないのである程度の数は完全に暗記しておきましょう。
どのくらいの単語数を覚えたらいいのかは、次の記事を見てみてください🔽
テストでは、会話の全てを理解する必要はない
リスニング初学者がよくやらかしてしまいがちなミスは、「喋っている内容は全部聞かなきゃいけない」と焦ってしまうことです。
しかし、一言も聞き漏らすまいと気を張ってしまうと、疲れてしまい、逆に点数が落ちてしまいます。
では、どうすればいいかというと、全然解答に関係なさそうなところでは力を抜いておき、「大事なこと言ってそう!」と思った時にだけ集中力を高めるやり方です。
では、「大事なところ」はどうやって知るかというと…
です。ある程度は分かってくるのでぜひリスニングの練習の時に注意してみてください。
留意) ディクテーションも、長い文章をやるのはもちろん重要ですが、「ここが大事!」というところがわかれば、大抵短い文章なので全部理解することができます。
その点で、ディクテーションでは “量” よりも “質” を重視する方がいいと思います。
聞こえなかったところは、文法の知識で埋める
リスニングをしていると、どうしても「聞き取れない」部分が出てきます。それはある程度しかたのないことなのですが、仕方ないで終わらせてしまうといつまでたっても点数が伸びていきません。
そこでやってほしいことが、「聞き取れなかったところは文法の知識で埋める」ことです。
例えば、以下の例を見てみてください。
こんなとき、どういう予測が経つでしょうか? 感じ的に、「経済学(economics)」が出てきているので学問関係でしょうか?
だとすると、「major in 〜」で 「〜を専攻する」という熟語を覚えておけば事実上わかるのです。
このように、全部バカ正直に聞きとる必要はなくて、聞き取れなかった単語はある程度文法や単語の知識で保管してやればいいのです。
私たちが普段話している日本語も似たようなことをやっていますし、ネイティブで英語を話している人も同じです。
リスニングに慣れていけばこういうことが自然にできるようになるのでしっかりと質の高いリスニングを積み重ねていきましょう。
最後に:継続は力なり
以上、英語のディクテーションの効率的なやり方と注意点、それにおすすめの教材をまとめてきました。
ディクテーションはリスニングの向上に大いに役に立つので、是非とも身につけたい勉強法です。
また、途中でも紹介しましたがディクテーションだけではなくシャドーイングなどとも相性がいいので、それぞれの勉強法のいいところを両どりして効率よく勉強を進めるようにしましょう。