最近では、大学入試で小論文を課す大学は多くなってきました。その割には、高校の授業で小論文の書き方を教えているところは少ないように感じます。
僕も現役時代は小論文のある学科を受験したのですが、その対策や勉強法は自分で調べたり国語の先生に聞くしかありませんでした。
そこで、この記事では小論文の勉強法やオススメされた参考書などを記しておきたいと思います。小論文のある大学を受験したり、AO入試などを狙っている人はぜひ参考にしてみてください!
目次 (クリックでジャンプ)
大学受験で見られているのは、こんな能力
まずは、小論文の勉強の仕方を学ぶ前に、小論文によってどのような能力が問われることになるのかをみていきましょう。
コレを知っておくと、自分に足りない部分を効率よく伸ばすことができますよ!
論理的思考能力
まずは論理的思考能力です。
小論文と似たような形式に作文がありますが、作文は自分の経験したことや考えたことを主観的に書くものです。
一方で、小論文は自分の意見を客観的に主張する文章です。つまり、論理的に話を運び、相手を納得させることが大切なのです。なので小論文では論理の飛躍があったりすると大減点になります。
このためには論理的思考能力というものが必要になります。簡単にいうと、「相手を説得させる文章を考えつくか」です。
コレは大学生や社会人になっても非常に重要な能力の1つです。
きちんと日本語を使えるか
当たり前のように聞こえますが、大学としては「日本語の使えない学生」を入学させるわけにはいきません。
なので、いわゆる国語的な能力も見られることになります。具体的には、
- 問題文の趣旨が理解できているか
- 解答は日本語として十分か
- 語彙は大学が求めるレベルに達しているか
などです。このあたりは受験生のほとんどがクリアしてくるのでしっかりと対策を立てましょう。
テストでは測れないオリジナリティ
特に難関大学で小論文入試が導入されているのは、この「テストでは測れないオリジナリティ」を求めているからです。
受験勉強には、少なくとも正解がありますが、それゆえに “個” というものが顕在化されません。要するに点数さえ取れればその人がどんなパーソナリティを持とうとも合格することができます。
一方で、小論文は書き手にスポットをあてることができます。自分の視点や考え方を持ったり、それをしっかりと表現できる生徒は受験勉強ができるということと同じくらい大切な人材です。
しかし、このことは決して論理的な文章を書くことや日本語として正しい文章を綴ることと矛盾していないことに注意しておいてください!
基礎を知らずに応用をするような人はただの “変な人” ですよ。
小論文の勉強方法
では、ここからはいよいよ小論文の対策方法、勉強法について解説していきます。
小論文の型を覚える
小論文は、まずは基本の型やパターンを覚えましょう。それについては、次の記事で紹介しています。
たまに、型を勉強しようというと、「型にはまらないのが評価されるんじゃないの?」という人がいますが、それは間違いです。
小論文の型というのは要するに論理展開のことで、論理そのものではありません。そして、あなたがオリジナリティを出すのは “論理の内容” においてです。つまり、あなたの “論理” を “型” にはめて解答にするのです。
では、なぜ型に嵌めることが必要かというと、その方が時間も労力もかからないからです。
また、パターンがあると論理の矛盾も見つけやすくなるので積極的に使ってみてください!
語彙力・文章力を高める
いくら論理展開が優れていても、それが全部ひらがなで書かれていたのでは合格にならないことは誰でもわかると思います。同じように、小論文の内容自体が優れていても使われている語彙が稚拙では高い評価を得ることができません。
そこで、小論を書くことが決定している場合には語彙力や文章力を高めていく必要があります。
どのように高めるかというと、新聞を読んだり新しい語彙を覚えていくのが手っ取り早いです。新聞はプロの記者やコラムニストが書いた文章なので読みやすく語彙も豊富です。
語彙ノートを作ったり新聞の社説を書き写したりするといいでしょう。
新聞などで時事に関心を持つ
小論文対策として新聞をオススメするもう一つの理由は、時事に明るくなるからです。
小論文の問題では、時事問題が出題されることがよくあります。また、具体例として時事ネタを放り込む事もできます。
なので、新聞やニュースを見ることは非常に大切です。もしご家庭で新聞を取っていなかったら、後ほど紹介する「」などを読んでみるといいでしょう!
先生に添削してもらう
小論文の勉強として特に抜けがちなのが、「人に読んでもらい、採点してもらうこと」です。小論文は「客観的に、人を納得させる文章」なので、書いた本人が採点してもうまくできなかったりします。
なので、書いたらそれを先生や他の人に採点してもらうといいでしょう。先生が恥ずかしかったら最初は友達とかでもいいかもしれません。
そして、それを書き直してまた採点してもらうのを繰り返すといいでしょう。過去問をやったり参考書をやったりする時も同じです!
解答の構成をそのままパクって書いてみる
小論文対策として過去問や問題集をやる人は多いと思います。その時にぜひやってほしいことが、「解答の論文構成や論理の流れをそのままに、内容だけをオリジナルのものにして文章を書いてみる」ことです。
コレをすると、論理的な文章を書く事もできますし、自分の中に新しい “型“ を一つ作ることができます。
過去問は制限時間を厳しめに
小論文で何が一番大変だったかを聞くと、多くの人は「制限時間」と答えると思います。それくらい、試験で小論文を書くのは大変なことです。
なので、過去問は時間制限を少し厳しめに設定するようにしましょう。
また、問題を解く時も文章の構成を練ったり最後に原稿用紙に書くところまでを意識して取り組みましょう。でないと本番で「時間が足りない!」なんてことになりますよ!
小論文の対策で注意すべき点
さて、ここからは小論文の対策で特に注意するべき点について書いてきます。多くの受験生が知らなかったり見逃している事もあるので注意してみてください!
学校・学部ごとに扱うテーマが違う
小論文で出題されるテーマというのは、大学や学部によって様々です。中にはかなり専門的な知識を必要とするところもあります。そして、そうなると同じテーマでも書くことはかなり変わってきます。
そのためにも、志望する学部の知識はある程度つけていった方が無難です。少なくとも、問題文に使われている程度の語は必須と考えてください。
それがどのくらいのレベルかというのは過去問を見て判断できると思います。もし足りないと思ったらしっかりと対策を立てましょう。
原稿用紙の使い方は常識!
あまり強調して書かれることはありませんが、小論文は減点方式です。そして、その中で以外にも多いのが、「原稿用紙の使い方で減点される人」です。
こういうのは実に些細なミスですが、1点を争う受験においては大切なものです。
そして、皮肉なことにこうした原稿用紙の使いかたなどで差がつくのは合格の当落線上にいる人たちです。
他にも、漢字の使い方や書き言葉(口語体) などで減点される可能性もあります。十分に注意しておいてください!
そこまで時間をかけられない
受験で小論文を使うという人のほとんどが、小論文の対策だけをしていればいいのではないと思います。他にも試験勉強はしなければいけないはずです。
小論文は確かに対策が必要ですが、その時間対効果は高いとは言えないと思います。その点において、小論文の対策にあまりに多くの時間を取られるのも考えものです。
なので、小論文は早いうちから手をつけておいて、毎日少しづつやっていくのがベストです。コレだけに集中しすぎて他がおろそかにならないように気をつけましょう!
時事などが絡んでくることもある
先ほども少し触れましたが、小論文では時事問題が出題されることがよくあります。ここで注意してほしいのは、直前の時事はでないということです。
大学の入試問題はテストの半年前くらいに作成・完成することが多いです。なので、テストの1ヶ月前にあったことなどについては出題できないのです。
なので、もし急いで対策をするのであれば、テストから半年前くらいの時事問題を中心にやるといいでしょう。オススメは後で書きますが「」などがよくまとまっていて、受験生にも定評があります。
小論文対策にオススメな参考書
では、ここからはいよいよ小論文にオススメの参考書を書いていきます。ここにはあげませんでしたが、語彙や基本的な文法もしっかりと身につけておく必要があります。
出口小論文講義の実況中継
少し昔の参考書ですが、「実況中継シリーズ」と言えば受験生に人気のシリーズです。
講義形式で話が進んでいくので、とっつきにくい参考書が苦手な人や実況中継シリーズを使ったことがある人にはオススメです。
ただし、僕が確認した限りではAmazon には在庫がなかったので中古になってしまうかもしれません。注意してみてください!
吉岡のなるほど小論文講義10
こちらも講義形式のテキストです。小論文の書き方の基本的なところから最終的にどのような構成で書けば良いかまでを10回の講義形式で紹介しています。
Amazon のレビューでは、2020年の小論文対策にも十分活用できるだろうと書いてありました。講義の回数は10回となっていますが、1講義あたりに時間がかかります。なので直前に10日で仕上げようとせずに結構前から手をつけ始めることをお勧めします。
現代文と格闘する
こちらは河合出版の「現代文と格闘する」です。タイトルからもわかるかと思いますが、小論文専用の参考書ではありません。むしろ小説・論説文用の参考書です。
しかし、解答が丁寧なことと問題文の難易度が高いために小論文の対策にも十分役にたつと思います。特に「〇〇を要約した後、△△についてあなたの意見を述べなさい」という出題形式の大学を受験するのであれば現代文の能力m必要になってくるのでぜひ「格闘してみて」ください。
ちくま評論入門
小論文の中でも、特に受験生に馴染みのない分野といえば、僕は「現代思想」だと思います。
別に、カントやヘーゲルなどの原典を読んでおけとはいいませんが、知識をつけておきたいという人はこの「筑摩評論入門」をおすすめします。文学部に行く人とかは将来的にも役に立つのでいいと思いますよ!
天声人語学習用ノート
一風変わった勉強法ですが、僕が受験生の時に流行ったのが “朝日新聞の社説である天声人語を書き写すこと” です。
コレをすれば、時事に敏感になるし、適度に短い文章を読むことができるし、程よく新しい語彙に触れることができるのでいいことずくめです。
ただ、この方法のネックとしては朝日新聞を取っている家でないとできないことです。
何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55
小論文を目の前にして、いつも「何を書けばいいのかわからない…」となってしまう人にはこちらの参考書がおすすめです。とても具体的なので行き詰まった時にはコレを見ると解決の糸口が見えたりします。
中には、「志望理由書のオキテ」などの項目もあるので、AO入試の人にもいいと思います。
大学入試小論文シリーズ
こちらは純粋に小論文の問題を集めた問題集です。
他の参考書と違う点はというと、解答が丁寧な点です。自宅浪人などをしている人の中で、自分で採点をしなければいけない人にとってはありがたい参考書だと思います。
また、2018年度版なので最新のトレンドを押さえてあるのもポイント高いです。基本はできているので演習をしたいという人にはぴったりでしょう。
まとめ
以上が大学入試におけるオススメの勉強法と参考書でした。かなり長い記事だったので最初の方を忘れているかもしれませんが、ブックマークなどをして繰り返し読むようにしてみてください。
小論文は少し対策をすればある程度までは点数が伸びると言われています。なので他の教科などで忙しい人もしっかりと時間をとって対策したいですね。
小論文の書き方などは別の記事に書いたのでそちらもぜひ読んでみてください!